揖保川・千種川流域
本田商店 主要銘柄 / 龍力、秋津
山田錦を極めた
吟醸酒造りのパイオニア
- 住所
- 〒671-1226 兵庫県姫路市網干区高田361-1
- tel
- 079-273-0151
- HP
- http://www.taturiki.com
江戸時代、元禄年間(1688〜1704)から播州杜氏の総取締役として酒造りに携わってきた本田家。
大正10(1921)年に網干の地に酒蔵を造り、昭和54(1979)年には吟醸酒造りを開始しました。
吟醸酒を造る蔵元は今でこそ多くありますが、当時としてはめずらしく、この点において本田商店は業界のパイオニア的存在であるといえます。
良い米を使えば良い酒ができるという考えのもと、米の美味しさを追求し、酒造りに適した酒米を使用。
特に山田錦においては徹底的にこだわり、農協を通じて米造りに熱心な兵庫県特A地区の農家と契約して最高品質のものだけを手に入れています。
昔ながらの木造蔵での酒造りが多いなか、本田商店では鉄筋4階建てのビルを酒蔵にしました。
一方で、酒造りの大事な工程である〝麹造り〟には蓋麹を使用。
〝搾り〟ではもろみを袋詰めにし、自然に酒ちる〝袋搾り〟の手法を取るなど、手間暇を惜しまない製法を守り続けています。
ヤヱガキ酒造 主要銘柄 / 八重垣、無
古来伝統の技が脈々
蓋麹法へのこだわり
- 住所
- 〒679-4298 兵庫県姫路市林田町六九谷681
- tel
- 079-268-8080
- HP
- https://www.yaegaki.co.jp/sake/
寛文6(1666)年の創業。播磨国林田藩(現姫路市林田町)に生まれた“材木屋”という屋号の造り酒屋がヤヱガキ酒造の始まりです。
その酒造りの特徴は、縦約60㎝、横約40㎝の杉の平箱を使った一升盛りの製麹作業に見られる麹造り蓋麹法。
これは350年にわたる技術の伝承があってこそできる丁寧な酒造りなのです。
酒が出来上がるまでの期間は約1カ月ですが、麹室での3日間の作業が酒の良し悪しのほとんどを決めるといいます。
仕込み作業が佳境に入れば、麹室の明かりは24時間消えることなく、熟練の技が繰り広げられます。
平成11(1999)年にヤヱガキコーポレーション・オブ・USAを開設するなど、海外への進出もいち早く行いました。
同時に、新しい試みとして、JR姫路駅のショッピングセンター内に直売店を設けたり、限定や非売の清酒を含めた年間頒布会の実施や「八重垣倶楽部」酒の会のイベントなどで、積極的に日本酒の新しい楽しみ方を提案しています。
下村酒造店 主要銘柄 / 奥播磨
手造り純米酒へのこだわりと
食中酒への取り組み
- 住所
- 〒671-2401 兵庫県姫路市安富町安志957
- tel
- 0790-66-2004
- HP
- https://www.okuharima.jp
創業は明治17(1884)年。「手造りに秀でる技はなし」という家訓を忠実に守り、今も米と米麹、水だけで造られた、本来あるべき自然の純米酒のみを手造りしています。
醸造用アルコールや糖分、香料などは一切使わない無添加。使用する酒米にもこだわり、代表的な銘柄である「奥播磨」には山田錦や兵庫夢錦を使っています。
「奥播磨」にも、「冷や」ではシャープな酸が感じられ、燗にすることで抜群に味が広がる「山廃仕込み」、しっかりとしたキレがありながら芳醇に旨味を感じる「辛口」、究極の食中酒というべき「純米大吟醸」など、さまざまなお酒があります。
また、それぞれのお酒に合わせて程よい熟成期間を設け、しっかりと純米酒の旨みを感じ取れるように設計しているのも特徴です。
飲み飽きない味わいと穏やかな香りは、まさに食中酒にぴったり。おいしい料理と合わせれば、自然に杯が進みます。
山陽盃酒造 主要銘柄 / 播州一献
手間・暇を惜しまず、
技を積み重ねる
- 住所
- 〒671-2577 兵庫県宍粟市山崎町山崎28
- tel
- 0790-62-1010
- HP
- http://www.sanyouhai.com
かつて高瀬舟が米や材木を運んでいたといわれる揖保川のほとり、旧城下町である兵庫県宍粟市山崎町で江戸末期天保8(1837)年に創業した蔵です。
もともとは、会社名と同じ「山陽盃(さんようはい)」という銘柄での販売を行っていました。
名前は文豪・酒豪として高名な江戸後期の漢詩人「頼山陽」に由来しています。
しかし、山陽地方のお酒と認識されることがあったため、約20年前に「播州地域のお酒を一杯どうぞ」という意味合いの「播州一献」というブランドを立ち上げました。
酒造りにおいては山田錦を始め、夢錦、北錦、愛山など「県原産」の酒米にこだわり、氷ノ山伏流水を自社の井戸から汲み上げて用います。
加えて、お酒の熟成に関しても力を入れ、醸造所から少し離れた場所にある明延鉱山跡の坑道で純米、山廃純米、大吟醸などを、約半年~5年以上熟成させます。
この場所で熟成させることにより酸が丸くなり、深みが生まれます。
老松酒造 主要銘柄 / 老松
日本酒発祥の地で
守り続ける伝統と技
- 住所
- 〒671-2577 兵庫県宍粟市山崎町山崎12
- tel
- 0790-62-2345
- HP
- http://s-oimatsu.com
江戸中期の明和5(1768)年創業。当時の屋号は「北門屋」で、山崎藩の御用酒屋でした。
現在の「老松酒造」に改称したのは昭和20年代。母屋と壁続きの表蔵は造り酒屋の風格を残した佇まいで、平成22(2010)年に兵庫県から景観形成重要建造物に指定されました。
山から湧き出る豊富な水と、良質な米に恵まれた立地条件の良さを生かし、伝統の味を守り続けてきた老松酒造。
寒造りの低温長期発酵で仕込むその手法は、昔ながらの手造りで、麹の微妙な温度管理なども経験と勘が全てだといいます。
酒米は宍粟産夢錦・兵庫県産山田錦・兵庫県産五百万石などを使用。これも宍粟の風土と老松の酒蔵に合うという考えによるものです。
一方、毎年ゴールデンウィークには〝蔵開き〟を行うなど、地元の人や日本酒ファンたちとの交流を大切にしてきました。
平成31(2019)年1月には販売所もオープンしました。250余年の歴史を持つ老舗は、今も地域に密着した酒造りを続けています。
奥藤商事 主要銘柄 / 忠臣蔵
伝統を守り続ける
赤穂唯一の酒蔵
- 住所
- 〒678-0172 兵庫県赤穂市坂越1419-1
- tel
- 0791-48-8005
創業は安土・桃山時代の慶長6(1601)年。奥藤家は代々、坂越の大庄屋、船手庄屋を務めた名家で、かつては赤穂市東部の赤穂藩主・浅野家の御用酒家でもありました。
酒造りの作業場、仕込み蔵は寛文年間(1661〜1673)の建設といわれており、天井や壁に施された補強の跡が400年以上におよぶ歴史の長さを物語っています。
こだわっているのは、昔ながらの手造りという点。清流千種川の水に、播磨の酒米という日本酒に最適な素材を使って、丁寧な造り方をしています。
目指しているのは、淡麗辛口のようにサラッと飲める酒よりも、飲みごたえのある豊かな味わいがあるもの。
大吟醸、純米吟醸、山廃純米とあり、深みのある細やかな味が特長です。
現在、赤穂にある蔵元はここだけということもあり、伝統ある酒蔵を守っていきたい気持ちは強まるばかり。
日本全国の人に「赤穂の酒はうまい」と感じてもらえる酒造りを目指し、奥藤商事の挑戦はこれからも続きます。